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よくある質問

カウンセリングや話すことには、どうして効果があると考えられるのでしょうか

まず何か悩みや苦しさを話すことにより、いったんそれをカウンセラーにも預けることになります。ですから精神的な重荷の一部がご自身の手から離れることになるので、気持ちが少し軽くなります。

 

また、悩みがきちんとカウンセラーに聴きとられることで、ある意味、それがこころの中で相応しい場所を持つようになります。面接ではいろいろな話しをしていくことになります。そのような様々な話との関連で、その悩みの話もひとつの場所を占めるようになります。こころの中で始めはどこに置いてよいか分からない、その存在もあやふやだったものが、収まるべきところに収まっていくわけです。いずれにせよ以前より少し呼吸することのできる空間が広がったような、自由を取り戻す感覚が戻ってきます。そのように感じられると、人は以前より少し元気になっていると思います。

 

他にもカタルシスの効果(抑えていた感情が出せてすっきりする)や無意識も含めて自分について知っていく効果があると思いますが、話すことの効果というのはまず以上のようなことが挙げられます。

よくある質問

カウンセリングは初めてなので、何をしたらいいのか分かりません

初めてのカウンセリングは誰でも緊張すると思います。場所は相談室になりますが、ほかの場所でと同じく、まだ見知らぬ人と出会うことに違いありません。

ご自身の悩みを相談しようと予約を取ること自体が、まず勇気がいることだと思います。

うまく話そうと思う必要はないですし、ご自身のペースで悩んでいることや困っていること等をお話になってください。

 

また、話すことは大切なことですが、場合によっては話すよりも一緒にいることのほうが大事になってくる時もあります。大人の場合もそうですが、子どもの場合は特に、はっきりとした言葉のやりとりがなくても、まずは一緒に時間を過ごすことが大切なこともあります。

 

そういうわけで、あまり心配しないで来て下さるといいなと思います。

コラム

「見えない違い」私はアスペルガー ジュリー・ダシェ原作

見えない違い 私はアスペルガー  ジュリー・ダシェ(原作)、マドモワゼル・カロリーヌ(作画)、原正人(翻訳)、花伝社

 

この漫画の主人公は27歳のマルグリットで、会社勤めをし、恋人がいます。でも彼女の心が本当に落ち着くのは自宅にいる時くらいで、はた目にはそう見えなくても日常生活のあらゆる場面で気苦労のたえない女性です。

いつもと同じ行動が取れないと落ち着かなくなってしまう。人の話し声をはじめ、時計の針が進む音やハイヒールの音など、物音が全般的にうるさく感じやっていることに集中できない。自分なりのこだわりがあり周りの人の興味に関係なく熱っぽく語ってしまう。人の言葉の裏を読むのが苦手である。急に疲労困憊が襲い、何もできなくなる・・等々。

職場に馴染めず恋人ともけんかをするような毎日ですが、ある日自身の悩みを検索しているときにアスペルガーという言葉を発見します。

 

そしてその後、彼女の悩みを理解できる医者と出会い、自閉症と診断されます。その診断にマルグリットは心からほっとします。外からは「見えない違い」、その存在を、生きてきて初めて正当に認められたと感じたのです。

 

それを機に彼女は自分のその見えない違いを大切にしながら、前向きに生きていくようになります。彼女の生きる世界が急に生きやすく変化するわけではありません。しかし彼女自身は変化します。説明しても理解できない様子の恋人や職場とは別れ、違いを理解しその味方になってくれる新しい人間関係を築いていく・・、大雑把に言えばそういうお話です。

 

私が読んでいてとても印象的で嬉しかったのは、診断を受けた後にありのままの自分が人に認められたと感じ自分でも自身を肯定することができ、恋人とシャンパンでお祝いをすること(「自分の限界に耳を傾け・・・私自身に敬意を払うの」と言っています)。またそれからしばらくして、「見えない違い」を「正々堂々と引き受けるというマルグリットなりの宣言」をする場面です。

 

「あなたは変わっている」、「なんで他の人と同じようにできないんだ」と言われて傷ついた経験は誰でも一つはあると思います。この漫画にはアスペルガーである主人公の生きづらさやそこからの変化、自分をよりよく発揮しながら生きていく様子が描かれています。人のひとりひとりの違いを認めたりそれを自身が引き受けることについて、普遍的なものがあるお話だと思いました。

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