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すべてを言うことについての欺瞞

2025/09/14

2026年度NLS大会のテーマはヴァリテvaritéです。
この語は、真理 véritéと多様性 variétéをかけた、ラカンの造語です。

そのテーマに関連する小論、エレーヌ・ボノーが書いた短い記事「すべてを言う(全部話す)、についての欺瞞」を見つけました。(https://www.hebdo-blog.fr/limposture-du-tout-dire/)

エレーヌ・ボノーはパリで活躍する精神分析家で、大人だけでなく子どもを対象に分析家としてかかわった経験も長くお持ちの方です。2023年には日本ラカン協会で秋のワークショップを開催して下さいました。著書も3冊あり、そのうち1冊は邦訳も出ています。

この記事では子どものつく嘘や、心的リアリティの問題に触れています(なお、最後に出てくる「本当の嘘をつく」という表現は、フランスのシュールレアリスム作家ルイ・アラゴンをボノーは参照しています)。

「すべてを言う」についての欺瞞

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ギトランクールの序文

2025/09/07

ジャック=アラン・ミレール氏がセクション・クリニックを始めるにあたって寄せた小論になります。精神分析家になるための資格試験は存在しないというテーマが扱われています。

セクション・クリニックとはたとえばパリ第8大学の場合、精神分析学科に設けられた部門で、精神分析の理論と臨床にかんして幅広く学ぶ機会を提供するものです。とりわけ病院で行われる授業には患者さんと分析家とのやりとりから直接学ぶことができる患者呈示など、貴重なものがあります。

 

ギトランクールとはフランスのイル・ドゥ・フランス地域イヴリーヌ地方の名前です。ラカンはそこに別荘を持っていて、分析家としての仕事を終えた金曜夜車で移動して日曜の朝か夕方まで過ごすのが習慣となっていました。

ギトランクールの序文

 

 

 

 

よくある質問

精神分析家になるための資格試験はあるのでしょうか

精神分析家になるための資格試験は存在しないというのが、ラカン派精神分析の考え方です。分析家としての能力は、どんなペーパーテストや実技試験(?)によっても図れるものではない、ということです。

それでは人はどのようにして精神分析家になるのでしょうか。

ラカン派精神分析家団体(ECF、NLS、AMPなど)では、各自が精神分析を受けること(これは数十年に及ぶこともあります)や様々な研修を受けること、団体で認知されることなどが条件になります。

 

例えば室長の場合、分析を始めたのは1996年の秋からです。留学していた期間はもちろんですが、それ以外の時もできるだけ毎年渡仏して、滞在期間は日に何度も分析に通うようにして続けてきました。コロナ禍に入ってからは渡仏できず、電話で話を聞いてもらうこともありました。

とはいえ、今まで日本人で団体に入会できた方(=分析家として団体に認められる)はひとりもいなかったので、もう無理なのではないか、そもそも日本人は精神分析家になれる対象に入ってないのではないかと思うこともありました。分析家になれるのかどうかまったく保証のない中続けていくことは気持ちのなかで厳しいものがありました。それと同時に、自分のなかで謎となっているところ、分析されるべきところが残っている以上、やめることも考えられない心境でした。

 

分析家団体への入会が認められたのが2024年のことなので、分析を始めてから30年弱かかっている計算になります。日本人でもちゃんと認めていただけるのかと驚きましたし、もう一人同時に入会を果たした方と、喜び合いました。今後はもっと日本人の分析家が増えると思いますし、そのために尽力したいと思います。

 

人はどうやって精神分析家になるのかの話に戻ると、団体に認められ分析家として活動しながら、とりわけ「パス」と呼ばれる制度の認定を経ると、エコールの分析家 les analystes de l’École という名が与えられて、今の精神分析がどのようなものなのかを色々な大会で証言するという任務を3年間負います。「パス」に成功する人は毎年数人程度のほんの一握りなので、数多く分析家がいる中での分析家の「時の人」になるようなイメージです。

 

精神分析家になるための資格試験は存在しないことについて、精神分析家のジャック=アラン・ミレール氏の論文を訳しましたので、興味のある方はこちらの記事を参照してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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