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コラム

第56回ECF大会について

今年の11月には、ラカン派精神分析の団体、ECFの大会が、二日間にわたって行われます。

その大会の趣旨文がダニエル・ロア大会委員長から発表されているので、訳してみました。

ロア氏は長年、特にたくさんの子どもたちと臨床でかかわっている、精神科医です。

研修医のころはフランソワーズ・ドルト(子どもの精神分析で有名なフランス人女性精神分析家。興味があればこちらをどうぞ)にスーパービジョンを受けていたと、お話されていました。

 

第56回大会のテーマはsentiment de la vieだということです。とりあえず「生きている実感」と訳しましたが、もっとよい訳があれば、修正したいと思っています。    第56回ECF大会趣旨文

 

コラム

第15回 AMP大会(2)

第15回AMP大会(2) https://congresamp.com/fr/(大会専用のサイト)

 

 

5月2日(土)と5月3日(日)には、AMPに属する精神分析家だけでなく、精神分析に興味のある人たちが大会に集いました。パリ現地時間で14時から、日本時間だと午後9時からのおよそ6時間超にわたって、活発な議論が繰り広げられました。

 

 

第15回AMP大会 白熊とクジラ

 

5月2日(土)

AMP現会長のクリスティアヌ・アルベルティと、大会委員長のリカルド・セルデスの挨拶から始まり、その後は4部構成で行われました。研究発表が主でした。すべての部で座長が1名と、討論者2名がついていました。

 

第一部。ギル・キャローズが「ふたつの自己愛」、シルヴィア E・タンドゥラーズが「現代の享楽の変遷」と題する発表を行いました。

第二部。エリザ・アルヴァレンガが「フロイトにおける<性的関係のなさ>の手掛かり」、フィリップ・エルボアが「性器的喜劇」と題する発表を行いました。

第三部。ヴィルマ・ココズ「スフィンクスに対峙するフロイト」、エリック・ロランが「<性的関係のなさ>と転移愛」と題する発表を行いました。

第四部。ダニエル・ロア「ファルスが破裂し飛び去った日」、グラシエラ・ブロードスキー「私をつよく抱きしめて」と題する発表を行いました。

 

5月3日(日)

 

この日は大会委員長のリカルド・セルデスが、大会運営にあたり尽力した分析家たち、ひとりひとりの名前を呼び、壇上にあがってもらう・・ことから始まりました。総勢50名ほどだったでしょうか。会場からその間ずっと拍手が送られていました。

 

第一部。「三つのニュアンス」(大会テーマからインスピレーションを得て各自が考えたこと)というテーマが設けられ、それについてクリスチアーヌ・アルベルティ、フェルナンダ・オト-二、リリア・マジュブの三人が発表し、そこに座長とふたりの分析家が加わって討論がなされました。

 

第二部。「ミシェル・ボゾンへのインタビュー」。人類学者であり社会学者、とくにセクシャリティーに関する著書のあるボゾン氏に対し、デボラ=グテルマン・ジャケほか1名と座長によるインタヴューがなされました。

 

第三部。マルタ・セラ「性的関係を発明すること」、ドメニコ・コゼンザ「<性的関係のなさ>を拒否すること、または引き受けること」、カテリーヌ=ラザルス・マテ「接触なしに、いっしょに生きること」と題する発表が行われ、座長のほか2名加わり討論がなされました。

 

第四部。大会の締めくくりとして、ジャック=アラン・ミレールによって第16回大会のテーマが発表され、趣旨説明がなされました。今回の「性的関係は存在しない」に続いて、次回は「耐えがたいものImpossible à supporter」というテーマが選ばれました。耐えがたいもの、とは、そもそもセクション・クリニックが立ち上がるときに、ミレール氏がラカンに「<臨床(クリニック)>を定義してほしい」と頼み、ラカンがそれにたいして与えた返答だったということです。「耐えがたいもの」とは、臨床においては症状を指したり、現実的なもの(le réel)を指したりします。性的関係を書くことの不可能性(impossibilité)と、「耐えがたいもの」とはimpossibleという点で共通点がある、とのこと。

次回までの2年間は、このテーマをめぐって各自、各団体が、勉強することになります。

 

私自身はすべて通して参加し、時差がある点がきつかったし聞きとれないところ等も沢山ありましたが、全体的にいってとても楽しかったです。発表によると大会にはじっさい33か国の人たち(2600名)が参加したとのことですが、分析家と言っても雑多な集団であり、その多様性と自由さみたいなものも発表から十分に感じることができました。日本についても話題に出ており、少なくとも最終日の第3部カテリーヌ=ラザルス・マテが話題にしていました(「引きこもり」現象についてと、「自分自身との結婚をする人たち」について)。また、全体をとおして、精神分析がいま時代の流れとともに直面せざるを得なくなっている困難にたいし、どう立ち向かっていけばよいのかという問題意識と危機感が共有されていると感じました。

 

個人的に一番興味深かったのは、なんと言っても色んな国の臨床を具体的に知ることのできる二日間にわたった症例検討でした。今回のようなラカン派の症例検討会では、大会テーマおよび理論がどのように症例理解を助けてくれたのか、あるいは理論の理解を症例がどのように助けるのかが明確になるような、かなり的をしぼった発表を聞くことができます。

また、大会をとおしてジャック=アラン・ミレール氏がご高齢にもかかわらずコメントを度々なさったり、大会の総締めくくりに登場して次回大会の趣旨説明をやり終えるなど活躍し、その姿も非常に印象的でした。

 

コラム

第15回 AMP大会について(1)

第15回 世界精神分析連盟(AMP)大会について (1)

 

ラカン派の精神分析の国際的団体(AMP)が主催するいちばん大きな大会は、2年に一度、フランスや南米などで開催されます。
今年はその第15回めにあたり、パリで催されました。大会テーマには「性的関係は存在しない」(ラカン)が選ばれ、それについて2年間勉強会が世界各地で催されるなどして、当日を迎えました。

 

AMP大会そのものは、5月2日(土)、5月3日(日)の、(現地時間)14時~20時の二日間です。これは現在AMPに所属する精神分析家だけでなく、精神分析に関心のある様々な人たちが参加可能な、開かれた大会です。
当日の発表によると、現地参加者とオンライン参加者あわせて2600名が、この大会に集ったということです。

 

また大会そのものとはべつに、大会前の4日間は、AMP所属の分析家のみが参加する会合が開催されました。

 

① 4月28日(火)「パスとの会合」 14時~18時30分
② 4月29日(水)「エコールUneの会話」 14時~19時
③ 4月30日(木)、5月1日(金)の二日間 「症例検討会」 14時~20時

 

計6日間に渡った第15回AMP大会ですが、日本のゴールデンウィーク期間とかぶったおかげで、私もすべてオンラインで参加ができました。そこで大会の様子を、順を追って、簡単に書き残しておきたいと思います。

 

①4月28日 パスとの会合

パスとは、自分自身の精神分析を最後までやりきったと考えるひとが、そのことを団体に認めてもらう手続きのことです(この記事を参照)。パスというその手続きを経て認められたひとは、今回のような会合で、自分の分析がどのようなものであったのかを、証言することになります。いわゆる「パスの証言」と呼ばれるものです。
精神分析はひとりひとりとても個別的なものです。精神分析のプロセスはひとによりかなり異なりますが、そこから普遍的なものを取りだして皆で学んでいくことが、精神分析を伝達していくうえで、また学問的な発展のために肝心なことになります。

また、とくになにかテーマがあり、それについて分析経験から話をしてもらうこともあります。

この日の「パスとの会合」は、二部構成で進められました。

第一部は、脱存在désêtreのとき、というタイトルで、Neus Carbonellら5人が発表を行い、第二部はパスのあとで、というタイトルで、Patricia Bosquin-carozら3人が発表を行いました。

 

②4月29日 「エコールUneの会話」

 

AMPは7つ以上の団体(エコール、スクール)を傘下にもっています。その団体ごとにちがう歴史があります。それらの団体の垣根をとっぱらって、対話を行うのが趣旨と聞いたことがあります。
この日は3部構成になっていました。

第一部では、セルゲイ・パンケイエフ(症例「狼男」の本名)のもつ主体の空虚(感)というテーマで、ジャン=クロード・マルバルが発表し、エリック・ロランが討論者として登壇しました。第二部は精神分析家たちによる精神科(精神医学領域)での実践というタイトルで、デフューら3人が発表し討論されました。第三部は精神分析的な短期間の治療というタイトルで、リカルド・セルデスら3名が発表しました。CPCTと呼ばれる、無料で精神分析的セッションが期間と回数限定で受けられる機関における治療について、討論されました。

 

③ 4月30日、5月1日 「症例検討会」

症例検討会は小グループに分かれて行われました。今回の大会テーマ「性的関係は存在しない」(ラカン)になんらかのインスピレーションを得た症例、もしくは、テーマをめぐってなんらかの知見がもたらされるであろう症例が集められました。集まった症例がさらに細かく分類され12の部屋にグループ分けされたところで、参加者が事前にどこの部屋に参加したいかを選ぶスタイルとなっていました。検討会の初日と翌日、それぞれ12の部屋から選びます。

細分化された色々なテーマ、どの精神分析家の症例を聞きたいかや、また、どの言語の同時通訳がつくのかも、参加する部屋をえらぶのに大事なポイントとなりました。

だいたい前半と後半5ケースずつ発表がおこなわれ、それに質疑応答が行われるかたちになりました。二日間だと合計20ケースを聞いたことになります。ひとつの部屋はだいたい100名から150名ほどが参加していたようです。

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