コラム
「ウィニコットとラカンに学ぶ」について
「ウィニコットとラカンに学ぶ」という本が発売になっています(筒井亮太訳、日本評論社)。
ウィニコットはイギリスの小児科医で精神分析家でした。「移行対象」(スヌーピーのライナスの毛布のような)や「ほんとうの自己」、「ほどよい母親」などのことばを聞いたことがあるのではないでしょうか。
いっぽう、ラカンはフランスの精神科医で精神分析家でした。「フロイトへの回帰」や「想像界・象徴界・現実界」、「父の名」など、彼もまたその後の精神分析の世界に大きな影響を与えました。
この本は、8人のイギリスとフランスの分析家たちが力のこもった原稿を寄せています(デボラ・アナ・リウプニッツ、アンドレ・グリーン、ジェームズ・E・ゴーニ―、アラン・ヴァニエなど)。ラカンとウィニコットの交流やそれぞれの人となりについてなどの伝記的なことから、両者が生みだした基礎的な概念のちがい、両者に深く影響を受けた分析家はどんなことを考えどんな精神分析を実践しているのかなど、知ることができます。
両者ともに言えることとして思ったのは、ひとりの精神分析家の思想を全体的に理解するのには、相当な努力がいるのだろうなということです。ウィニコット、もしくはラカンのどちらかだけでも全体的に理解できるなら、それはかなり素晴らしいことだと考えられます。
またこの本にはいくつか臨床例が載っていて、理解を助けてくれると思いました。とくに興味深かったのはリウプニッツやゴーニ―が報告する症例でした。なぞ解きのようなところやドラマチックな性格をもっているからかと思います。





