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コラム

『精神分析の迅速な治療効果』について(2)

2018/09/03

題名が「精神分析の迅速な治療効果」とあるとおり、どの症例も短期間で治療効果があったと考えられるものが紹介されています。そのひとつひとつの内容を、簡単に紹介します。

精神分析の迅速な治療効果

 

第一章 症例ミンナ―テロに遭遇してトラウマを負った30代女性

仕事に行く途中たまたまテロに遭遇してしまった女性で、その後悪夢にうなされています。
トラウマに苦しむミンナの悪夢に繰り返しあらわれるのは、事件内容そのもの(たとえば爆弾や犯人像)ではありません。むしろこの不幸な出会いが生んだ、この女性に特有のものです。
またテロのような衝撃的な出来事に遭遇したとき、ある人にはそれがトラウマとなりその後症状に苦しみますが、ある人にはトラウマにならず症状も何もでない、そのことをどう捉えたらよいのかについて、説明の試みがなされています。
それからこの症例にはとくにたくさんの夢と、それにまつわる連想が報告されています。そして分析家による解釈も提示されています。

精神分析の迅速な治療効果

フランス語版

 

第二章 症例マルタ―夫の暴言に悩み離婚を望む30代女性

今までの自分から変わろうと決心した、三人の子どもを持つお母さんの話です。マルタの感じている「不安」というものが持っている大事な側面や、彼女が着てきたTシャツに書かれたことばが意味することなどが説明されています。

 

第三章 症例アンドレア―十年前に離婚した40代女性

離婚して10年たち、新たな恋愛をはじめている女性です。彼女は異性との関係の持ち方について、分析することができたようです。そのほか、「同一化」についての説明などがあります。

精神分析の迅速な治療効果

スペイン語版

 

第四章 症例ペドロ―愛と欲望のあいだで女性を選べない30代男性

二人の女性のあいだで態度を決められない、優柔不断な男性で、強い不安をもってやって来ました。分析家のところで女性問題を解決した後、局所性ジストニアにかかり苦しみますが、これも迅速に解決したと報告されています。
この章では、たとえばなぜ精神分析にとって自由連想法がたいせつなものなのかなどの説明がなされています。
守秘義務への配慮のためか、この本のなかで一番、秘められたままになっている箇所が多い、症例報告であるように感じました。

 

第五章 症例ペペ―大便を失禁する4歳男児

友だちと遊べない、言語の発達の遅れ、トイレの便器を使えないなどの問題がある男の子です。面接室における、一見理解しがたいペペの振る舞い、遊びを、分析家がどのように解釈し、介入したのかが説明されています。ぺぺがこの世界とうまくやっていくために自分で編み出した工夫・遊びも、取り上げられています。

 

第六章 症例アロンソ―病的嫉妬で浮気の証拠を探し求める30代男性

恋人が浮気をしているのではないかという嫉妬妄想に苦しむ男性です。彼が激しい嫉妬心をもつのはなぜなのか、どのように理想の女性を作り上げようとするのか、また、どのように自分の症状と折り合いをつけて現実に適応できるかなどが、説明されています。彼が報告する長い夢についても討論され、その解釈が提示されています。

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