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コラム

症例 「鳩男」

2017/07/27

  雑誌Mental33号

前のコラムに書きましたが、ヨーロッパ精神分析連盟主催のPIPOL7では、初日に多くの症例発表が行われました。「犠牲者」という大会のテーマに何らかの形で関連がある症例の検討が行われました。

その中で私の印象にとくに残った症例が「鳩男」と言うものです。

このタイトル「鳩男」というのは、日本語で言うと「鴨男」というほどの意味です。日本語で「~のいい鴨になる」(~の都合良く利用される)という表現がありますが、そう言いたいときに、フランス語では「鴨」のところが「鳩」になるのですね。これは面白いと思います。

内容をごく簡単に紹介することにします。(以下、ラカン派精神分析の用語がいろいろ出てきますが、それらに関してはまた機会を改めて説明したいと思います。)

この発表で扱われていた主体は、ラカン派精神分析の分類で言えば、精神病の主体です。この男性はある犯罪を犯した後に精神分析家と出会い、面談をつづけ、自分の享楽を名付けることに成功し、自分の人生に責任を負う主体として生きることが可能となった人物として報告されています。精神分析的な面談によって主体の変化が起こり、人生が良い方向へ変化した一つの成功例として、提示されています。

ただ彼は自分の罪状を最初から最後まで(分析家との面談が進んでも)否認しており、事件の加害者である自分のことを「被害者」であると見なしている人物でもあります。このような主体にたいしてどういった姿勢で臨むことが可能なのか、精神分析家が出来ることと出来ないこととが、説明されているとも思います。

発表者のジョナサン・ルロイ(Jonathan Leroy)氏はベルギーの司法関連機関で働く精神分析家で、ブログも運営しています。3ページ程度の短い論文ですが、主体が大他者の享楽の対象になるという経験についてや、症状からサントームを作り出すということの一例が、手際よく提示されていると思います。発表論文はその後雑誌Mentalの33号に収録されました。

※この論文は症例論文のため、プライバシー保護の観点からそのままここに掲載することは、残念ながら出来ません。詳細をお知りになりたい方は、ルロイ氏論文の試訳がありますので、相談室宛てにメールでご相談下さい。

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